「自分の地元には消防がないのですが、どうすれば良いですか?」

学生さんからそのような質問がありました。さて、一体どういうことでしょうか?

我が国の消防機関には以下のような2つに大別されます。

①常備消防:〇〇市消防局、〇〇町消防本部。常勤の自治体職員が担っている。

②非常備消防:〇〇市消防団。自治体の住民が非常勤職員として担っているボランティア的なもの。

多くの自治体では、常備消防を主体として非常備消防が補助的に運用し、いずれも備えていると思います。

皆さんの周りでも、本業を持ちながら地元で消防団員として活動している人がいると思います。

ところが、全国を見渡すと常備消防を有さない自治体が29町村存在します。

平成30年版消防白書 附属資料Ⅵ 非常備町村一覧

このような町村では、消防団の人々が火災などに対応しています。そもそも人口が少なく大きな火災が発生するような施設もないので、消防団で十分に対応できるのです。

一方、救急はどうするのでしょうか?救急車はあるのでしょうか?救急救命士や救急隊員はいるのでしょうか?

救急業務は、診療所や役場が救急車を運用する、いわゆる「役場救急」という形をとっています。

役場救急におけるメディカルコントロール体制の実態に関する研究:救急振興財団ホームページ

消防非常備町村における病院前救護体制の現状と課題

急病や怪我が発生すると役場の職員が救急車で出動し、病院に搬送します。現在は豊中市が事務委託を受けて消防常備化がなされた大阪府・能勢町では役場が救急救命士を養成し、質の高い病院前救護が提供されていました。

また、公立の診療所がある地域では医師や看護師が救急搬送を行っています。

また、消防非常備町村の多くは離島です。患者搬送船などで本土に搬送することも多いのです。

全国には様々な仕組みが存在するのですね。